熱帯魚:ベタの飼育・繁殖について【アクアリウム、ショーベタ】




今回はベタの飼育・繁殖について解説いたします。

目次

ベタについて色々

ショーベタ、ベタについて色々

まずベタというのはペットショップのアクアコーナーや熱帯魚店で小さなコップ等の容器に入れられて売られているのを見たことがあるかと思います。

単純に「ベタ」と呼ばれる魚はベタ・スプレンデンスの改良品種「トラディショナル・ベタ」が主流です。

このトラディショナル・ベタ(以下トラベタ)を更に尾びれが半月のように開くよう改良した「ショーベタ・ハーフムーン」、尾びれがザクザクした「ショーベタ・クラウンテール」、闘魚として改良されてきた各ヒレが長くならない「プラカット」があります。

他にも全長が一回り以上大きくなるビッグサイズの「ジャイアント」もありますね。

色彩(カラー)について

色については赤、青、オレンジ、イエロー、ラベンダー、ホワイト、ブラック、ギャラクシーなど様々。

赤は赤でもカンボジアレッドやソリッドレッド、青はスチールブルーやターコイズなど多種多様に存在しております。

バイカラーやバタフライ、ギャラクシー等の2色や複数色もございます。

繁殖を狙う際に遺伝子情報を知っているとある程度狙った色の子が産まれてくるようになりますが、遺伝情報についてはまた別で記事にしたいと思います。

ベタの飼育方法

ショーベタの飼育方法の解説です

原産国はタイのため、熱帯魚用ヒーターは必要になりますがベタの飼育は簡単です。

水温は25度~28度くらいと高めに設定することが良いでしょう。

エラにラビリンス器官(補助呼吸器官)を備えており、空気呼吸を行うこともできます。

そのため、エアーレーションによる酸素供給の必要性が無く、水温さえ保てればコップ等の小さい容器での飼育も可能です。

このラビリンス器官はベタの他にグラミィ、地面を這って別の池を探すキノボリウオにも備わっております。

過酷な環境に適応した生物の能力、凄まじいですね!

水質は弱酸性を好み、餌はアカムシやイトメ(イトミミズ)等の生餌を好みますが人工飼料も慣れると食べます(流通しているベタは人工飼料に慣れていますが、ワイルドベタはご注意)。

水槽のサイズも小型のものでもOKです、管理は難しいですが数リットルの瓶等での飼育ができます。

もちろん大型の水槽でも飼えます。

他の魚との混泳は問題ありませんが、ベタのオス同士は激しくケンカしますので1容器に1匹飼育が大前提です、メス同士は複数同時飼育が可能ですよ。

たまにオスを複数匹一緒に飼っている場面を見たりしますが、生まれてから兄弟達を分けずにずーっと一緒に育てているとケンカせずそのまま飼育できるようです。

一度でも離すとケンカするようになってしまうそうですよ。

また、オスとメスを同時に飼育することもできません。

オスはメスに対しても攻撃を行うので繁殖の時以外は単独飼育が基本となります。



ベタの繁殖方法

ショーベタの繁殖方法、画像はメスです。

性成熟したオスとメスが居れば繁殖を狙うことも可能です。

ベタはオスが泡巣と呼ばれる巣を水面に作り、メスと交尾・産卵後に卵を口に咥えて泡巣にくっつけて保護する習性があります。

そのため、水槽は繁殖用に単独で用意し、水面を揺らさない工夫(エアレーションをしない、フィルターを止める)が必要です。

 

準備した水槽にオスを入れたら、メスをプラケース等の透明な容器に入れて水槽の側面に置きましょう。

水槽越しにオスはメスを見つけると興奮状態になりフレアリングしたり落ち着かない様子を見せると思います。

このままにしておくと次第にオスは泡巣を作りはじめます。

翌日になれば立派な泡巣になっていれば準備はOK。

メスをプラケースから水槽に放ち、様子を見てみましょう。

興奮したオスがメスを攻撃しますが一旦は様子をみてください。

それがベタでは普通です。

あまりにも執拗に攻撃するようであれば相性が悪い可能性もあるのでメスを取り出してください。

土管(塩ビパイプでも)や水草等でメスの隠れ場所を作ってあげるのも良いでしょう。

 

上手くいけば、メスがオスに誘われるように泡巣の下に行き、オスがメスを身体で包むように抱いて静かに落下していく様子が見られるでしょう。

これが交尾です。

メスは固まって放心状態になり、お尻から卵がポロポロと出てきます。

オスも固まりますが先に意識を取り戻し、卵を口に咥えて泡巣へと運びます。

この行動を何回も繰り返しながら産卵します。

 

産卵後はオスはメスを追い払ってしまうため、泡巣を壊さないように掬ってあげて、静かな容器で休ませてあげましょう。

オスの攻撃を受けて傷を負っている場合には薬や塩を加えて体力回復を待ちます。

 

オスの方はそのまま卵を守ってもらいます。

泡巣からこぼれ落ちる卵を口でゲットし、泡巣に戻したり、胸鰭を使って卵に酸素を送ったりと育メンパパの姿は惚れ惚れしますよ。

2、3日も経てば卵から稚魚が孵化してきます!感動的!

オスはまだ一緒でも大丈夫、ちょろちょろと動く稚魚の世話もしっかりしてくれます。

稚魚は孵化してから2~3日はお腹の養分(ヨークサック)の栄養だけで育ち、その間は泡巣にしがみついています。

お腹の養分を吸収し終えると泡巣から離れて自由に泳ぎ始めます。

ここまで来たらイクメンパパのお役目も終わりです、掬って静かな容器で休ませてあげましょう。

ここからは餌が必要になりますので先に用意しておきます。

私のおすすめはインフゾリアと呼ばれる微生物群ですね。

ベタの稚魚は産まれたては小さいため、よく初期飼料に使われるブラインシュリンプを食べることができません。

それより小さな飼料が必要になります。

インフゾリアはどの水槽にも存在はしているのですが、それだけを探して稚魚に与えるということは難しいです。

そのため、インフゾリアが発生する枯れた水草の葉等を別容器に入れて置き、稚魚用の人工飼料を少し入れてあげれば増殖しますのでやってみてください。

インフゾリアを沸かすと濁ってきますが、それが微生物群なので濁ったところをスポイトで採取し稚魚たちの近くにポタポタと落としてあげればOKです。

また、インフゾリアを沸かすのが面倒な人は枯れた水草の葉や稚魚の人工飼料をそのまま稚魚水槽に入れておけば発生しますので一石二鳥ではありますね。

この場合、水質が悪化しやすいので要注意です。

ベタの繁殖で難しいとされるのがこの初期飼料です。

口に合う餌を用意できないと稚魚たちは餌にありつけずに死んでしまいます。

この段階を乗り切れば後はすくすくと育ってくれますよ(*’ω’*)

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